『その日のまえに』
映画『その日のまえに』を観ました。
すごくおもしろかった。大林宣彦監督の作品はいくつか観てるけど、また観たくなりました。
余命あと少しのとし子が、昔住んでいた町を訪れる。
そこで出会う人たちも、死を思わせる何かを持っている。
でも泣かせるようなエピソードが続くわけじゃなくて、単なるノスタルジーでもなくて、映像が斬新でファンタジーの世界。眠い時かすごくたくさん眠った後って、こんな風かもしれない。
とし子が「いますごくいろんなことに敏感になっていて、世界が瑞々しく見える」っていうようなことを言っていたのが印象に残りました。

そういえば大学時代、一人で寝台車に乗って山口と広島に行きました。大林監督の故郷、尾道にも行って、ロケ地巡りなどをしました。
その日はパルコ劇場で中島らも『こどもの一生』を観ていた。そのまま東京駅へ行き、22時発のサンライズ出雲に乗る予定だったから、終わる時間が気になり落ち着かなかった。
最後まで観て、21時15分に劇場を出て慌てて山手線に。けど、それが大崎止まりだと気づく。今思えば次のに乗っても間に合っただろうけど、焦っていたので大崎でタクシーに乗り換えてしまう。運転手さんは「たぶん大丈夫だと思う」って言ったけど、混んでいてすごく焦る。
21時50分くらいに東京駅の赤いレンガが見えてきて、メーターは3,220円。お財布に小銭がぴったり、220円!3,230円にならなくて助かった。
ぎりぎり間に合いサンライズ出雲だ!ホームについてほっとする。でもおなかはぺこぺこで、このまま6時44分倉敷着まで過ごすのはつらいなあと思うと、ホームにたこ焼き自販機発見!お金を入れてすぐに出ると思ったら、カウンター表示があり、できあがるまでの時間が表示される。2分59、28、57・・・早く〜と表示を見つめてるとプルルルって発車のベルが鳴り出し、(ああ、もうダメだ)とあきらめて、たこ焼きを置き去りにしてすぐ近くのドアに乗り込む。
ベルが鳴る中、自販機に一番近いドアに立って表示を眺めていた・・・20、19、18・・・ああ残念!
そのときホームを、身なりのきちっとしたまさに紳士って感じのおじさんがゆっくり歩いてきた。白い服で、ステッキをついていた。たこ焼き機のカウンターを凝視している私の顔に気づいたらしく、私とたこ焼き機を交互にきょろきょろした・・・9、8、7・・・私もそのおじさんに気づいて、でも言葉にできなくて、顔で(そう!そのたこ焼き!私の!)と訴えた・・・3、2、1、0!おじさんがたこ焼きを取り出し小走りで私のところに持ってきてくれて、熱々のたこ焼きを受け取ると、目の前でドアがプシューとしまったのです。ああ、おじさん!ドアの窓越しに何度も頭を下げて、小さくなっていくおじさんやらタクシーの運転手さんやら中島らもさんやらに感謝しました。

寝台車は、ベッドじゃなくて「のびのびシート」を予約していた。薄い布団が付いていて、カーペットの上でゴロ寝。一応となりとはカーテンで仕切ることができる。サンライズ出雲ができた頃で、きれいでのびのびできた。隣りはおじさん二人組で、崎陽軒のシウマイやビールをもらって、たこ焼きを一緒に食べました。

無事に着いた尾道で撮った写真を帰ってから切り貼りしたもの。階段だらけの町だった。また行きたいな。

2009/09/26 15:05 | Comments(2) | TrackBack() | 未選択

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コメント

なんて素敵なおじさん! ステッキだけに(笑)

このエピソードが映画みたい☆
出発時にこんな素敵な出来事があったなら、
旅も絶対いいものになるはずだね♪

おれも尾道行ってみたいなぁ。
posted by kita at 2009/09/28 01:16 [ コメントを修正する ]
ありがとう〜!
私もびっくりしたけど、一瞬の出来事にステッキおじさんもびっくりしたと思うよ。自販機のたこ焼きをどうしても食べたい!って、よっぽどおなかすいてたんだね。

posted by 茶こし at 2009/09/29 01:30 [ コメントを修正する ]

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