初日の思い出
もう2週間以上前になりますが、絵本原画展『プール』の初日の思い出です。

夜、初日を終えて少し高揚した頭で帰りますと一通の封筒が届いておりました。
B4サイズの大きめの封筒で、送り主は絵本の作家の方の娘さん・・・えっ何だろう?こんな大先生の娘さんが私になんの御用?と緊張しながら封を開けますと、入っていたのはその先生の展覧会のご案内でありました。ああ、なるほど・・・でも私にまで送ってくれるなんてありがとうございますと頭を下げ、そしてそしてそして。なんと。封筒の裏には先生の直筆の絵が描かれておりました。
その日は久しぶりに人とたくさん話をしたり20年ぶりの旧友と再会したりと頭が少し興奮状態になっていたため、まだ幻を見ているような現実ではないような感覚に陥りしばしボーゼン・・・こんな貴重な絵を私なんかがいただいてしまってよいのだろうか、何故ここに・・・と、本棚の上にそっと立てかけてとりあえずその日は眠りました。
そうこうしているうちに6日間が過ぎました。
無事に原画展を終え、台風の中搬出を済ませ、ギャラリーの西須さんの赤い車で近くの駅まで送っていただき、いろいろな思いを胸に抱えたまま翌日。雨にも負けない梱包で戻ってきた額やコルク人形におかえりーありがとねーと紐解いてプチプチから出して再会。ちょうどよいサイズの額を選び、一枚私の絵を抜き取りました。棚に立てかけていた先生の封筒をそこへ入れました。ぴったり。額は、私の絵が入っているときよりもいい額に見えました。

後日お尋ねしてみると、その絵は先生が描かれたものではなく、娘さんが先生の真似をして「ナンチャッテ」で遊びで描かれた絵だということがわかりました。「ナンチャッテ」作品、たくさん描かれて多くの方にお送りしたうちのひとつでした。
でも、本当に勝手な狭い範囲の想像なのですが、父娘の幸せな空気が時空を越えて少し伝わってきたような、そのような気分になり、そのまま額に入れて眺めています。
父と娘、父と息子、母と娘、母と息子、他にもいろいろそれぞれの関係があるけれど、娘さんの気軽で粋な冗談がとても素敵だなと思ってしまいました。それにしてもそっくりの絵。勘違いしてしまう人も多いのではないでしょうかと心配になりました。これを送ってしまう娘さんがおもしろい。とにかくびっくりの出来事でした。

2018/08/10 23:44 | Comments(0) | 絵本

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