『Good Night Sleep Tight』
先週、『グッドナイト スリイプタイト』を観ました。
(作・演出 三谷幸喜/パルコ劇場)
中井貴一と戸田恵子の二人芝居。約20年間一緒に過ごした夫婦が別れる日から始まって、出会った頃までの時間を遡る構造。舞台は常に二人の寝室で、二人のベッドがくっついたり離れたり。
久しぶりに「おなか痛い」と思いながら笑った瞬間があった(『ザ・マジックアワー』観たとき以来かも・・・つまり半年ぶりだ)けど、なんだか切なくて、こうやってあっという間に時間て過ぎるんだろうな、と思わされました。
舞台の上の方にデジタルカウンターがついていて、たしか10240だったかな?二人が出会ってからの日数だと、しばらくしてから気づきました。戸田恵子が家を出て行くその日から始まる。「ねえ、この小箱、鍵がかかってるんだけど何入れたんだっけ?鍵がないんだ」と未練たっぷりでわりと無邪気に箱を開けようとしている中井貴一の横で、「覚えてないわ」とクールに荷造りをする戸田恵子。そこからカウンターの数字が減っていく間に、戸田恵子の職業や性格がどんどん変わったり、作曲家である中井貴一の浮気がバレたり、子供が欲しいと言い出したり、でもその前には欲しくないと言って戸田恵子を悲しませていたり。で、ラストで再び10240日目の別れの日のシーンになったとき、ついに「開いた!」と小箱が開く。入ってたのはもう何も写っていないポラロイド写真。そこから一気に、ほんの4秒くらいでデジタルカウンターが180日目まで遡り、ベッドの上でその2ショット写真を撮った夜。

『ラヂオの時間』や『オケピ!』みたいに、いろんな偶然が重なって一つの奇跡を生む感動ではなく、忘れてしまうような些細なことが積み重なってこの夫婦は淡々とダメになっていく日常。それを観客が神の目のように外から眺めている。
今ある状況って、過去の一つ一つが積み重なっての結果なんだって、当たり前なんだけど思わされました。当たり前なんだけど。こんな風に全部つながってるんだろうなぁって。そしてこれもよく言われるけど、ライフイズショートタイムで。何十年後かに振り返ったとき、まさにラストのデジタルカウンターみたいに一瞬で遡ってしまうくらいの短さなんだと思う。その儚さというか、無常観というか、きっと私もこうして終わる。それなのにそのときどきは一生懸命やろうとする、人の滑稽さ。年末に近づいてきたということもあって、余計に振り返りモードにさせられるけど。

それから、中井貴一はすごくうまかったです。三谷さんが「『風のガーデン』を観ている人は観ない方がいい」って言ってたのはほんとで、まるで正反対の人になっていました。ちょっと高い声でセリフの語尾が妙に伸びる。ボツになったという設定の曲“まったく感動できない応援歌”を熱唱する中井貴一におなかを痛くさせられました。抑揚がなく聞いていると気分悪くなりそうな♪がんばれ〜の繰り返し。熱唱する中井貴一もそんなことに時間を割く三谷さんも、くだらな過ぎておかしかったです。舞台が始まる前から三谷さんのアナウンスが流れたり、生演奏の楽団の人がところどころ役者として舞台に上がってきたり、全体的にゆかいで温かい空気で満ちていました。そういえば三谷さんがリコーダーを吹きながらちょこっと出てきて楽しかったです。

ポラロイド写真を撮って小箱にしまったあと、「おやすみ、また明日」のセリフで舞台は終わる。未来を期待させるセリフの繰り返しがああいう別れの日に繋がるんだけど、もし幸せな結末に続いたとしても、切ない言葉だなって思った。
早くWOWWOWでやらないかな。

2008/12/12 03:12 | Comments(0) | TrackBack(0) | 未選択

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