井上洋介展『エホンとタブロー』
井上洋介展『エホンとタブロー』(市川市芳澤ガーデンギャラリーにて6/21(日)まで)に行きました。
すごかった。圧倒されました。絵本の原画はもちろん興味深く、ナンセンスなお話の展開も愉快な絵も「自由だ!」と躍ってるかんじ。見ていて楽しくなりにやにやしてしまう。でもそれ以上に予想以上にタブローがすごかった。と思い出すだけで手に汗じわり。迫力があり過ぎて存在感があり過ぎて、包まれて飲み込まれてしまいそうだった。強い匂いがしそうでこっそりかいだけど、無臭だった。グロテスクで生々しい。胎児や骸骨みたいな人間や、目玉がいっぱいうごめいていた。


市川に向かう電車の中。本を読もーっとハードカバーを開く。iPodを聴いて集中。
のつもりが、3駅くらいしたところで、お揃いの紺の制服に白い帽子を被った女の子たちが20人くらいわーっと一斉に乗ってきた。小学1年生。品のいい女子校みたい。空いてるすきまに座ったり、輪になったり、あっち行ったりこっち行ったり、この子たちを見てる方が楽しくなりいったん本をあきらめる。iPodを小さくして盗み聞き。私のとなりにも座る。利口そうで品があってプライドがあって、1年生ってけっこう大人だなあと思う。2駅くらいでみんな降りたので、ほっとして本に戻る。

市川で降りるつもりが、一つ前の小岩で改札を出てしまい、また戻る。コイワ イチカワってちょっと似てるから。って単にぼーっとしてるだけだけど。入館が16時までで、もうあまり時間がない。

駅からギャラリーまで徒歩16分と書いてあったのでタクシーに乗ってしまう。
行き先を言うと、運転手さん(白髪まじりのベテランのおじさん)が「その帽子かっこいいね。」「あ、ありがとうございます。」「似合ってるよ。」うれしくなる。さっきまで読んでいた本、主人公もタクシーに乗っていたので混ざる。少しだけ、その主人公みたいな口調になっている。

無事に着いた。お客さんは私ともう一人だけだった。

最後までいてロビーに出ると、井上洋介さんがいる。作品にやられて出たところでうわあーと思う。握手してもらう。ぷにぷに。あったかい。絵本にサインをいただく。電車の絵と頭が3つついた頭人間の絵を「ゴーーン!」とか言いながらゆっくりゆっくり線を引いてくださって、それを見ているとくらくらした。井上さんとお知り合いの、絵本の編集をしていらっしゃる方もいて、3人でギャラリーを出る。

駅で別れて一人ホームに上がろうとしたとき、すれ違いざまに誰かのSuicaが落ちた。慌てて拾って「スイカ落としました?落としました?」と4人くらいに聞くと、そこにいたおばちゃんが「あの子じゃないかしら?」と指差したので聞いたらやはりその子で、その子はすごく喜んだ。おばちゃんはすぐに行っちゃった。

電車の中で絵本を見直す。

乗り換えの駅は夕方のラッシュで超満員。隙間に乗り込む。旅行で日本に来たような乗れずに困ってる西洋人の中年の夫婦がいて(ここ、ここ、乗る?)とドア付近のスペースを指差すと、奥さんの方が「夫は太っているから無理だわ!」というようなことをジェスチャー交えながら英語で言っている。ふむふむ。オーケーオーケー。にやにや。ドアが閉まってガラス越しに手を振ると、奥さんは思いっきり手を振りながら小さくなっていった。たぶん次のに乗るんだろう。

今日、行ってよかった。

2009/06/20 02:45 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択

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