『遠くの町までおつかい』
ある春の日、ぼくと弟はおばあちゃんに頼まれて
ふたりだけで遠くの町までおつかいに行くことになりました。
ぼくは赤い帽子に蝶ネクタイ、
弟はぼくのお下がりのよそゆきの青い服をおばあちゃんに着せてもらいました。
はじめはとことこと歩いていましたが、だんだんと弟は遅くなり
途中でぺたんと座り込んでしまいました。
ぼくと弟は、休憩をすることにしました。
「小さいのにふたりでよくこんなに遠いところまで来たね」
ふいに、後ろに立っていた背の高い茶色の3本の草が話している声が聞こえました。
ぼくが何か答えようと口の中で考えていると、
「もう少しで着くよん」
と、どこからか飛んできた枯れた葉っぱが、
弟のおなかの上でくるりと一回転をしました。
弟を見ると眠っています。コロンと倒れてしまいました。
それからもう少しだけ休んで、ぼくは弟を起こしました。
ある春の日、ぼくと弟はおばあちゃんに頼まれて
ふたりだけで遠くの町までおつかいに行くことになりました。
ぼくは赤い帽子に蝶ネクタイ、
弟はぼくのお下がりのよそゆきの青い服をおばあちゃんに着せてもらいました。
はじめはとことこと歩いていましたが、だんだんと弟は遅くなり
途中でぺたんと座り込んでしまいました。
ぼくと弟は、休憩をすることにしました。
「小さいのにふたりでよくこんなに遠いところまで来たね」
ふいに、後ろに立っていた背の高い茶色の3本の草が話している声が聞こえました。
ぼくが何か答えようと口の中で考えていると、
「もう少しで着くよん」
と、どこからか飛んできた枯れた葉っぱが、
弟のおなかの上でくるりと一回転をしました。
弟を見ると眠っています。コロンと倒れてしまいました。
それからもう少しだけ休んで、ぼくは弟を起こしました。
ある秋の日の朝、五人のコルクさんは黄色に染まり始めた銀杏の木を見に行こうと
近くの坂道を上って行きました。
初めて上る坂道です。
「この坂の一番高いところからきれいな銀杏の木が見える」と、
今朝早く飛んできた楓の葉っぱが教えてくれたので、上ってみることにしたのです。
(その楓の葉はそれだけを教えてくれたあと、勢いよくどこかへ飛んで行ってしまいました。)
風が強い朝です。
五人は転がり落ちないように足元に気を配りながら、慎重に坂を上っていきました。
風が朝の雲を飛ばしていきます。
銀杏の木はまだ見えないかなぁと先頭のコルクさんがふと見上げると、
流れる雲の隙間からレモン型の白っぽいお月さまが顔を出しました。
これから沈むお月さま、あの高いところにあるお月さまからは銀杏の木は見えるのかな?
先頭のコルクさんがそう思ったときぴゅうと強い風が吹いて、先頭のコルクさんは転がり落ちそうになりました。