元日の夕方、大変なことが起こってしまいました。
金沢市に住んでいる妹家族はちょうど実家の静岡県に車で入った頃で、金沢の家も大きな被害はありませんでした。被害に遭われた方々、悲しい出来事に直面してしまった方々に、心からお見舞い申し上げます。
金沢市に住んでいる妹家族はちょうど実家の静岡県に車で入った頃で、金沢の家も大きな被害はありませんでした。被害に遭われた方々、悲しい出来事に直面してしまった方々に、心からお見舞い申し上げます。
鈴木出版の月刊絵本「こどものくに」たんぽぽ版11月号『おちば』(文/高部晴市さん)の絵を描かせていただきました。(「こどものくに」は直接幼稚園などにお届けされる本で書店には置いておりません。)
ぱらぱらぱらりん ぱらりんりん
ぱらりんぱらぱら ぱらりんりん
かさこそこしょこしょ ぱらりんりん
そぉっとそっと ぱらぱらりん
そんなリズムに乗りながら、サルがおちばの山にもぐったり、リスが葉っぱをそりのようにしてすべったり、ミミズやミノムシもちょこちょこ出てきたりと、楽しい絵本です。赤や黄色に染まっていく葉っぱを拾ったり放ったりしながら、いっしょにお楽しみいただけたらうれしいです。
https://suzuki-syuppan.com/
『おちば』の文章が高部さんから封筒で送られてきたとき、【うさぎは茶色でおねがいします。】と添えられていて、うん確かに茶色の方がいいと私も思ったので茶色にしました。『おちば』は2021年度の『ゆきだるま』より先に文章を送っていただいていたのですが、いろいろな都合で『おちば』の方があとになりました。
だいぶ前に描いた、「こどものくに」の紹介用の冊子に載せていただいた『おちば』のイメージイラストです。
先週の午後、高部さんと御茶ノ水の喫茶店でお会いしました。高部さんはここに来る前にひとつ打ち合わせを終えて、お昼を食べて、神保町の古書店街でやっていた古本市を覗いてから来た…ということでした。「何か買ったんですか?」と聞くと、コレ、と鞄から、杉浦茂の古い漫画を出して見せてくれました。本屋さんの店先で「杉浦茂ある?」と聞くと出してくれたので買った、ということでした。高部さんが子どもの頃はクラスの中に杉浦茂派と手塚治虫派がいたとか…。それから、いろいろ構想中の話を聞く中で(高部さんは常に構想中の話が頭の中にいくつもあって、いつもすごいなと思わされます…)、何か宮沢賢治を思い起こさせるところがあったので、アッ!と思って聞いてみると(高部さんの以前の絵本『サーカス』の中にも宮沢賢治の童話に通じる人物が出てくるので、前々から気になっていていつかそのことについて聞いてみようと思っていました)、小学校のときに白黒の映画で観た『風の又三郎』が強く印象に残っていて忘れられない…ということでびっくりしました。その白黒映画は私も以前から気になっている映画でした。又三郎役の子が独特の雰囲気がある子で、少し怖いような感じもする映画…。小学校のときに観た切り、という高部さんは、有名な一節「どっどど どどうと どどうと どどう」のところで、主人公の三郎は喋るのではなくにこんな風に歌うようにしていたと言って歌ってくれて、私もタイムスリップして白黒のスクリーンの中に入っているような気持ちになりました。
新美南吉が今年生誕110年で、昨年、記念のロゴマークを新美南吉記念館が募集していたので応募してみたところ落選しました。出来上がったときはいいかなと思っていましたが、今見ると、確かに足りないものがあるなと感じます。
ぱらぱらぱらりん ぱらりんりん
ぱらりんぱらぱら ぱらりんりん
かさこそこしょこしょ ぱらりんりん
そぉっとそっと ぱらぱらりん
そんなリズムに乗りながら、サルがおちばの山にもぐったり、リスが葉っぱをそりのようにしてすべったり、ミミズやミノムシもちょこちょこ出てきたりと、楽しい絵本です。赤や黄色に染まっていく葉っぱを拾ったり放ったりしながら、いっしょにお楽しみいただけたらうれしいです。
https://suzuki-syuppan.com/
『おちば』の文章が高部さんから封筒で送られてきたとき、【うさぎは茶色でおねがいします。】と添えられていて、うん確かに茶色の方がいいと私も思ったので茶色にしました。『おちば』は2021年度の『ゆきだるま』より先に文章を送っていただいていたのですが、いろいろな都合で『おちば』の方があとになりました。
だいぶ前に描いた、「こどものくに」の紹介用の冊子に載せていただいた『おちば』のイメージイラストです。
先週の午後、高部さんと御茶ノ水の喫茶店でお会いしました。高部さんはここに来る前にひとつ打ち合わせを終えて、お昼を食べて、神保町の古書店街でやっていた古本市を覗いてから来た…ということでした。「何か買ったんですか?」と聞くと、コレ、と鞄から、杉浦茂の古い漫画を出して見せてくれました。本屋さんの店先で「杉浦茂ある?」と聞くと出してくれたので買った、ということでした。高部さんが子どもの頃はクラスの中に杉浦茂派と手塚治虫派がいたとか…。それから、いろいろ構想中の話を聞く中で(高部さんは常に構想中の話が頭の中にいくつもあって、いつもすごいなと思わされます…)、何か宮沢賢治を思い起こさせるところがあったので、アッ!と思って聞いてみると(高部さんの以前の絵本『サーカス』の中にも宮沢賢治の童話に通じる人物が出てくるので、前々から気になっていていつかそのことについて聞いてみようと思っていました)、小学校のときに白黒の映画で観た『風の又三郎』が強く印象に残っていて忘れられない…ということでびっくりしました。その白黒映画は私も以前から気になっている映画でした。又三郎役の子が独特の雰囲気がある子で、少し怖いような感じもする映画…。小学校のときに観た切り、という高部さんは、有名な一節「どっどど どどうと どどうと どどう」のところで、主人公の三郎は喋るのではなくにこんな風に歌うようにしていたと言って歌ってくれて、私もタイムスリップして白黒のスクリーンの中に入っているような気持ちになりました。
新美南吉が今年生誕110年で、昨年、記念のロゴマークを新美南吉記念館が募集していたので応募してみたところ落選しました。出来上がったときはいいかなと思っていましたが、今見ると、確かに足りないものがあるなと感じます。
月刊絵本『プール』『ゆきだるま』で文章を書いてくださった絵本作家の高部晴市さんから新しくできた本を送っていただきました。『あかいボール』の中国語版『小紅玉』と『イチからつくるラーメン』。どちらも高部さんワールドが詰まっていておもしろかったです。
高部さんの奥様は織り物作家さんで機織り教室を開いていらっしゃるのですが、昨年の12月、ご自宅にある“ふき工房”で織り物展示会があり初めてお伺いしました。大きな織機がありとても興味深かったです。桜や小鮒草などで草木染めしたウールやシルクを織って制作されていました。たくさん並んだマフラーやタペストリーはどれも手に取ると柔らかく、暖かみがあり素敵でした。お孫ちゃんの作品もかわいかった。そのあと高部さんの仕事場も拝見しました。ガリ版の謄写版やインクを見せていただきこちらもおもしろかったです。そのときは夕方で、ちょうど大きな窓から夕日が差し込み部屋全体がオレンジ色に染まり良い雰囲気でした。
高部さんの奥様は織り物作家さんで機織り教室を開いていらっしゃるのですが、昨年の12月、ご自宅にある“ふき工房”で織り物展示会があり初めてお伺いしました。大きな織機がありとても興味深かったです。桜や小鮒草などで草木染めしたウールやシルクを織って制作されていました。たくさん並んだマフラーやタペストリーはどれも手に取ると柔らかく、暖かみがあり素敵でした。お孫ちゃんの作品もかわいかった。そのあと高部さんの仕事場も拝見しました。ガリ版の謄写版やインクを見せていただきこちらもおもしろかったです。そのときは夕方で、ちょうど大きな窓から夕日が差し込み部屋全体がオレンジ色に染まり良い雰囲気でした。
『ワンダーブック3月号』(世界文化ワンダークリエイト)のシールを貼って遊ぶページ「たのしいにんじんゆうえんち」の絵を描かせていただきました。
この3月号では全ページを通していろいろなところにダンゴムシが隠れていて、それを見つけるのも楽しい1冊になっています。
昨日、平塚市中央図書館にて「オリジナル絵本を作ってみよう!」というイベントがありました。たくさんのご応募の中から抽選で当選された小学1〜3年生のお子さんとご家族の方に参加していただき、とても楽しい時間となりました。どうもありがとうございました。
図書館の方が始めに絵本「なまずにいさん」を読んでくださり、絵本の世界に導いてくださったあと、私が絵本ができあがるまでの流れを短く説明し…でもあまり上手に説明できなかった…そして絵本の制作に取りかかってもらいました。お話を考えてきてくれた子もそうでない子も、小さい妹ちゃんたちも、それぞれ自分が描きたい絵本を作ってくれて、横でグッド・アイデアを出されるご家族の方もいらっしゃって、私にとってもとても刺激になりました。
男の子3人兄弟の真ん中の子と参加してくださったお母さんは「普段、上の子と下の子にばかり何かと声をかけてしまうので、今日は真ん中の子とこうして一緒に過ごすことができてよかった」とおっしゃってくださり、よかったなあと思いました。その男の子は表紙に【作:名前】を書く際、自分の名前の横にすかさずお母さんの名前も書き入れていてびっくり、私もうれしくなりました。いろいろな子がいて、ご家族の方が見守る横でずんずん自分の好きなものを描いていく子、相談しながら描いていく子、恥ずかしがって見せたがらない…けど見せてくれる子、いろいろで、図書館の方や参加してくださったみなさまに助けられました。どうもありがとうございました!
作ってくれたお話は・・・
・いちごたろうが、すいかたろうやみかんたろうと水泳大会に出て優勝し、みんなと仲良くなるお話
・えだまめくんが妹ちゃんと赤ちゃんと、ありさんのおうちに遊びにいってお菓子をいっぱい食べたあと、兄妹で仲良く眠るお話
・ねこちゃんがお友達と出会って草原の中のお風呂でかくれんぼをするお話
・棒人間くんがハットマンと戦っていく中で、剣を手に入れたりいろいろな強さを身につけながら、冒険をしていくお話
・きのこを食べられない弟のなつくんが、カレーの中に入っているきのこくんを食べたらきのこパワーで元気になって、きのこを食べられるようになるお話
・漢字の「顔」「体」「手」「足」が組み合わさってできた漢字人間くんが、漢字の「草」や図形でできた世界の中を旅するお話(クイズ付き)
・ピンクハートちゃんが、オレンジハートちゃんやきいろハートちゃんと滑り台を滑ったりブランコに乗ったり鉄棒をして遊ぶお話
・虹が好きな女の子が眠っている間に、太陽がキラキラ輝き出し、蝶々もたくさん飛んで、大好きなきれいな虹が女の子の上に架かるお話
・時計のような珍しい形をした卵から生まれた身長3cmのタイムどりくんが、空を飛んで右の翼に付ける時計と左の翼に付ける時計を見つけに行くお話
・お父さんとお母さんの結婚記念日のプレゼントを何にしようと悩んで、そうだ!と思いつくお話。この絵本自体がプレゼント。
・女の子の洋服から取れてしまったボタンのボンちゃんが、犬になめられそうになったり雨に濡れたりしながらも、最後は女の子の洋服に戻ることができてにっこり、のお話
でした。みんなすごい♪
『赤い三角屋根の家』
うさぎのぴょんこが、道に雪だるまをいくつも並べて作りながら、遠くへ行ってしまった年の離れたお兄ちゃんが久しぶりに帰ってくるのを今か今かと待っていると、リリーンリリーン…ふいにどこからか、風の音に混じって聞いたことがない変わった音が聞こえてきました。
「なにかしら」
耳をぴんと立てて辺りを見回すと、ぼんやりと赤い三角屋根の小さな家が雪の中に建っているのが見えました。
「あんなところにおうちあったかしら」
近づいてみると、家の中で誰かがつっかえつっかえ演奏をしているのが聞こえました。聞いたことがある曲ですが何の曲か思い出せません。その曲はぴょんこにとって何か楽しい気分になる曲だったような…。ぴょんこは家の中が気になって、窓からそっと気付かれないように片目で覗いてみました。小さなこたつが見えました。それからこたつの上のたいやきが、ひれでオイデオイデとぴょんこに手まねきをしました。
身軽なぴょんこはおそるおそる窓に足をかけて中に入ってみました。部屋の中は暖かです。こたつに足を入れました。
魚たちはぴょんこが入ってきたことがうれしいようです。ぴょんこの周りをくるくると回りながら何か聞き覚えのある歌を歌っていますが、泳ぎながら歌っているので声が揺れてよく聞こえません。魚たちはりんごの笛の穴に顔をつっこんだり、トライアングルの三角の輪のとぎれた部分にわざと体をはさませたりして遊びながら泳いでいます。演奏の邪魔になりますがそこにいるみんな楽しそうにしています。
見ているうちにぴょんこはふと、笛を吹いているのは前にお兄ちゃんが送ってくれたあの爽やかなりんごで、トライアングルをたたいているのは夏のお祭りでお兄ちゃんと一緒に食べたフライドポテトかもしれない…と思えてきました。たいやきは…と眺めていたとき、1匹の魚が鈴の輪をくぐりながら口ずさんでいる歌がぴょんこの耳に届き、ハッと思い出しました。
「この歌はお兄ちゃんがときどき歌っていた歌だ」
お兄ちゃん、きっとそろそろ帰ってくる。
ぴょんこが
「ありがとう、さようなら」
と立ち上がろうとすると、こたつの中からもぞもぞと網を持った小さい人が現れて、
「ウン、マタネ。オニイチャンモウスグカエッテクルヨ」
と言いました。その声を後ろに風の中で聞きながら、ぴょんこは雪の中を駆けていきました。
お兄ちゃんのおみやげはまだ温かいたいやきでした。
次の日もその次の日も、ぴょんこはお兄ちゃんと遊んだりいろいろお手伝いをしたりして過ごし、その不思議な赤い三角屋根の家のことをすっかり忘れていました。それからずっとあとになって思い出し、赤い三角屋根の家を探しましたが、それっきり、どこにも見つかりませんでした。でもぴょんこは、確かあのとき風の中で「マタネ」と聞いたような気がして、きっといつかまたあのときぴょんこの体を温めてくれた、あの不思議な家に行けるような気がしています。