村山知義展
murayama.jpg神奈川県立近代美術館へ『すべての僕が沸騰する 村山知義の宇宙』を観に行きました。
すごかったです。もちろん童画が楽しみで行ったわけですが、童画の展示コーナーに辿り着くまでの作品…舞踏や舞台装置やベルリン留学時のお仲間とのスナップ写真や、ポスターやコラージュやらあれやこれやがかっこよくて、へんで、ぞわぞわ中に入ってきて気持ち悪くて快感。
舞台の展示コーナーに、自分に舞台装置を作らせてほしいと懇願する直筆の手紙があり、熱い想いに打たれました。しかもそうして手がけた舞台装置が、これまた斬新でクールで、ストーリーはわからないけどこのお芝居観たかったなという気持ちでいっぱいになりました。
そしてやっと童画の展示コーナーに辿り着きアヒルやニワトリが見えてきたと思ったときに、13時。ドイツ文学者でエッセイストの池内紀氏によるオープニング・レクチャー「村山知義への招待」というのを予約していたので、童画は後で観ることにして、そちらの会場へ行きました。
1920年前後のベルリンの熱気のようなものを感じさせてもらえて、とてもおもしろかったです。「あの若さとあの無知がなければあの創造はできなかった」というお話があり、なるほどと思いました。それから「村山知義のおかっぱ頭のあのダンスは、今見ると異様なものに感じるかもしれないけど当時は異様ではなかった」とおっしゃっていたので(え?!!)と驚きました。私は、異様さを狙ってあえてあの髪型にしたのだと思っていたからです。異様じゃなかったってどういうことだろう?
講演のあと、さっき途中だった童画の展示コーナーから最後までを観て美術館を出ました。童画のコーナーでは知義さんと妻・籌子さんとの出会いを思い、眩しかった。3度投獄されたりたいへんだったみたいだけど…籌子さんの、シュールでユーモアがあって世界を広く捉えつつもそこにしかない独自のお話に、知義さんの絵がある奇跡。それを知ることができて、とてもうれしい。大好きです。
バス停に向かうとちょうどバスが来ていたので慌てて乗り込みました。後ろのタイヤの上辺りの席を目指しつつぱっと顔を上げると、先ほど講演されていた先生が最後部の席に座られるところでした。あ!さっきの!と口に出してしまい、なんとなく会釈して、私はタイヤの上の席に座りました。3つくらい停留所を過ぎたところで、思い切って「あの、すみません、1つお聞きしたいことがあるんですけど…」と声をかけ隣りに座らせていただき、おかっぱ頭があの当時は異様ではなかったってどういうこと?という質問をさせていただきました。おかっぱ頭はエジプトをルーツとしたあの時代の世界中の流行の髪型で、特に、異質さだけを狙ってやったわけではないんじゃないかというお話でした。そういえば、ベルリンで出会って影響を受けた同時代の女性ダンサー、インペコーフェンも似たような髪型をしている。(とは言え、日本人の男が伸ばすのはやはり珍しかったのかもしれない。そういう見出しの新聞記事が図録に載っていました。)駅に着くまでの15分くらい、不躾な私の質問にもご親切にお答えしてくださりとても楽しかったです。
☆展覧会はこのあと、4/7〜5/13京都国立近代美術館、5/26〜7/1高松市美術館、7/14〜9/2世田谷美術館と巡回するようです。

2012/02/13 01:16 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択

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